vol.88

父母と子どもが共に親しむ教材
社団法人日本図書教材協会副会長
川野辺 敏

 ロシアの国語教科書を調べていて、教材の広がりを考えさせられた。この国では、国語に関して言えば、「ロシア語」と「文学」の二つに分かれて、カリキュラムが組まれており、初等教育段階(第1〜4学年)では「ロシア語」に週5時間、「文学」(読み方と文学)に週4時間が当てられている。

 それはともかく、教科書の分量の多いのに驚く。「読み方と文学」だけについてみても、各学年とも2冊の教科書(各250ページ程度)が提供され、例えば、第3学年用の教科書を開いて見ると、やはり250ページと240ページほどの2冊がセットで与えられている。第1巻の構成は「口承民族芸術(おとぎ話・ノンフィクション)、ロシアの古典より(詩のノート)、文学的おとぎ話」などからなっており、第2巻は「お気に入りの児童文学作家(詩のノート・生き物を愛そう)、子ども雑誌(「ムルズイルカ」と「楽しい絵より」)、外国の文学」などとなっている。中身まで紹介はできないが、低学年の段階から、ロシアの大作家であるプーシキン・トルストイ・ネクラーソフ・ゴーリキーなどの作品などが、ずらっと取り上げられているのである。

 実は、「教科書」といってもこれら全ての内容を「授業」で扱うようにはなっていない。使用に当たっては「先生(大人)が読む」「父母と一緒に読む」「父母に読んでもらう」「自分だけで読む」に分類されており、個々の作品に「記号」が付けられている。日本では教科書の分量をあまり増やすわけにはいかないが、ここに図書教材の生かし方のヒントがあるような気がする。子どもの学習に父母や地域住民を巻き込み、子どもと成人が共に学べる「図書教材」を考える時ではないだろうか。

〜図書教材新報vol.88(平成24年8月発行)巻頭言より〜