vol.199

良質な学校デジタル教材への期待
一般社団法人日本図書教材協会理事
東北大学大学院情報科学研究科教授
東京学芸大学大学院教育学研究科教授
堀田 龍也

令和3年1月26日の中央教育審議会(中教審)答申は、『「令和の日本型学校教育」の構築を目指して?全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現?』というタイトルであった。

この答申の中には、GIGAスクール構想による1人1台の端末に対して、「この端末からネットワークを通じてクラウドにアクセスし、クラウド上のデータ、各種サービスを活用することを前提としている」と書かれている。そのために「端末の家庭への持ち帰りを可能とすることが望まれる」としている。

これまで、主たる教材として位置付けられた教科書だけでは不足する部分を補完、展開する役割として学校教材が広く普及し安定的に用いられてきた。教科書が「教科用図書」であるように、学校教材の多くは図書教材であった。修得教材や習熟教材は、学校における授業での活用のみならず、家庭学習での活用も一般的であった。評価教材は、児童生徒の個々の理解状況を把握し、本人にフィードバックすると同時に、教師が学習指導を改善することに寄与してきた。

中教審答申を踏まえれば、今後は学校での学習の一部はクラウドが前提となる。これを新規のビジネスチャンスだと捉えたIT企業は、個別最適な学びに供するデジタル教材をいち早く開発して提供し始め、すでに普及が始まっている。

「学校デジタル教材」とでも呼ぶべきこれらの教材は、従来の図書教材のノウハウがあるからこそ実現可能だと思う。乗り遅れればデファクトスタンダードではなくなる。

教科書は、当面はデジタルも紙も共存するだろうが、数年のうちにデジタルが主となるだろう。その時点でデジタル教科書とシームレスに利用される学校教材を、この業界から適切なタイミングで生み出すことが期待されているのである。

〜図書教材新報vol.199(令和3年11月発行)巻頭言より〜