vol.195

教材士研修制度の発足に向けて
一般社団法人全国図書教材協議会会長
細谷 美明

すでに各地区のブロック長等を通じて教材士研修制度の概要については周知されているものと思われるが、6月29日に開催された理事会においてあらためて報告があった。その設置目的は「教材販売店が、教材の供給とともに、学校や教師の実態に合わせて教師に教材の活用法を提案したり、学校教育や教材に関する有益な情報を提供したりできる、教材活用のアドバイザーともいうべき付加価値を持った存在になり、学校教職員との関係充実を図ること」(教材士研修制度運営方針より)にある。

現在、学校現場では教員の世代交代が急速に進み、それまで偏りが目立っていた年齢構成も改善されてきている。2019年度の全国の公立小学校における教員の年齢構成は、20代19・2%、30代25・8%、40代21・1%、50代29・3%、60代4・7%で平均年齢は42・6歳である(文部科学省「学校教員統計調査」)。しかし、校長先生方の悩みは「若手教員の育成」だという。その一因として、ベテラン教員がもつデジタル教材への苦手意識が若手教員への指導に影響しているようだ。

私が勤務する教職大学院でも教員志望の学生がデジタル教材や機器を積極的に使い模擬授業を展開する姿を目にするが、教育効果という点で疑問が残る授業が多い。デジタルに苦手意識をもたない世代への羨ましさも感じるが同時に危険性も感じる。学校現場でも似たような現象が起きているのではないか。

国のGIGAスクール構想に見られるように、学校における教材のデジタル化の流れは止められない。ベテランが苦手意識でデジタル教材に背を向け、若手が経験不足でデジタル教材を使いこなせないのであれば、一番の被害者は子どもそのものであろう。紙であれデジタルであれ子どもの指導に適切な教材の選択・使い方を知る教材士の存在はこれからの学校にとって救いとなるのではないだろうか。一日も早い研修制度の発足を望む。

〜図書教材新報vol.195(令和3年7月発行)巻頭言より〜