vol.193

コロナ禍の中の教育−災い転じて福となす
一般社団法人日本図書教材協会監事
広島大学名誉教授
二宮 皓

イスラエルではワクチン接種により、自由な活動が復活しているし、アメリカでも接種率が上がり、昨年度春に対面授業を中止し、オンライン授業などに切り替えた大学も、通常のキャンパスに返ることになるだろう。わが国でも、昨年の緊急事態宣言で一斉に休校に入り、オンライン授業に切り替えた。しかしオンラインでは学生の意欲減退等から休学・退学者が増大しているということで、原則対面授業に戻すようにという指示があった。入学式も挙行され、キャンパスライフが戻ってきた。ところが今まさにそのさなかに、コロナ感染の爆発(第4波)が襲ってきている。学生の間の感染者の増大も心配される(若者の人流は制限できない)。私などは高齢者であるので、無理をお願いしてオンライン授業に切り替えてもらったが、大学は対面授業を原則としている。オンライン授業に戻ることはないだろう。

大学(学校)は、コロナ禍によるオンライン授業に大きな投資を行った。学生の休学・退学を誘因すると批判され、技術になれない多くの教員の不興をかい、教育効果が期待できないと批判されるオンライン授業。オンライン授業はコロナがもたらした「災い」であるという。

しかし私の考えは少し違う。オンライン授業には何も教育的に優れたことはなかったのか。少し大きな講義室で、スクリーンにパワーポイント資料を写しながら、マイクを使用した伝統的な話法での講義を行う、といった「対面授業」に戻ることが本当にいいのだろうか。

ハイブリッド授業は私たちに何を教えてくれたのだろうか。オンライン授業の経験は私たちにどんな新しい学びの可能性を示唆してくれたのだろうか。こうした視点でオンライン授業の新たな可能性を整理し、「災い転じて福となす」ことが大切ではないか。

〜図書教材新報vol.193(令和3年5月発行)巻頭言より〜