vol.150

デジタル教科書活用の現状
一般社団法人日本図書教材協会理事
星槎大学特任教授
新井 郁男

  公益財団法人教科書研究センターから『我が国における各教科のデジタル教科書の活用及び開発に関する総合的調査研究』(研究代表者:伊勢呂裕史)の研究成果報告書が去る6月に公刊された。これは平成26〜28年度科学研究費助成を得て、各教科の専門家、教科書発行会社のスタッフなど50名のメンバーによって小・中・高等学校の先進的事例の視察を中心に行われた調査研究で、報告書は382ページに及ぶ大規模なものである。

 調査の企画運営部会主査として関わったものとして、その活用の概要を述べると次のようである。

 @通称「デジタル教科書」には、検定を受けた教科書に音声などさまざまな機能が付加されているが、教科書によって付加機能は必ずしも同じではないので、その活用状況も採択している教科書によって同じとは限らない。

 A指導能力の高い教師の方が適切に活用している。

 B電子黒板、タブレットなどの整備状況によって活用状況が異なっている。ハードがソフトの活用を制約しているというのが現状である。

 C協働学習的活用はあまりみられなかった。

 D習熟度別、個別化での活用は少ない。

 E日常的活用は少ない。

 以上のような活用状況に照らして次のような課題がある。

 @学校内のICT環境の整備

 A教育長、校長などのリーダーシップの向上

 B教師の専門性・指導力の向上

 Cコンテンツの補充についての検討

 D多様な形態の活用の推進

 E主体的学習の観点にたった指導者用と学習者用の差異化の検討

 F実証的調査研究の推進

〜図書教材新報vol.150(平成29年10月発行)巻頭言より〜