vol.130

学校教育の充実を求める文教関連予算
一般社団法人全国図書教材協議会会長
佐野 金吾

 毎年、教育予算をめぐって文科省と財務省とのせめぎ合いが行われているが、中でも義務教育の国庫負担金に関わる教職員定数の問題が常に議論の対象になっている。

 財務省は少子化にともなう教職員定数の減を求めているが、文科省としては学力の向上やいじめの問題等学校が当面している課題への対応としての教員の加配措置が必要であるとし、さらに発達障害や貧困問題、外国籍の児童生徒等の多様な問題に対してスクール・カウンセラー(SC)やスクール・ソーシャルワーカー(SSW)などの専門職の配置を考慮した加配を見込んだ予算を計上している。

 適切な教育を行う上で最も大切にしたいことは、教員が児童生徒と接する時間の確保である。しかし、教員は調査の報告などの事務的業務、学校図書館業務、ICT関連業務、課外の活動、保護者への対応などに追われ児童生徒が抱えている悩み、問題等に懇切に対応できる時間的ゆとりをなくしている。

 国は教育再生実行会議の提言を受けて教育の改善・充実に向けた施策を次々と実施しているが、児童生徒の教育に直接かかわる学校の職場環境は一向に改善されない。

 SCやSSWなどの専門職が各学校に配置され、児童生徒や家庭の抱えている課題等に対応できるようになれば教職員は児童生徒への教育に専念できる。

 学校教育が当面している課題は多様化・複雑化・困難化しつつあり、これまでの学校の組織では対応が難しい状況にある。児童生徒の教育に直接かかわる教職員と多様な専門職が配置された学校組織が実現すれば現状を乗り越えた活動的な学校教育が期待できる。

 国は教育再生を最重要課題として全ての子供が社会で自立し、活躍できる力を育む学校教育を目指しているが、文教関連予算はそれに見合ったものでなければ実現は難しい。

〜図書教材新報vol.130(平成28年2月発行)巻頭言より〜