vol.124

「長くて短い?」70年
一般社団法人日本図書教材協会副会長
川野辺 敏

 戦後70年ともなると思わぬことが噴出する。私の青春の野球記事が事務局に知れ渡っていることに驚かされたり、忘れていた出版社から『終戦直後の日本占領下の記録』といったアメリカ軍の撮影した映像の監修を頼まれたり、思いがけない話が舞い込んだりする。

 そんな中、教材に目を移すと、これも70年は短かかったのか長かったのか戸惑うばかりである。「教材」と言えば、小・中・高等学校で使用する学校教材を念頭に置いたはずであったが、生涯学習に視野が広がり、学校教材でも、教授教材プラス学習材に、教科教材プラス領域教材にと、幅を広げて対応する時代になった。教材の種類もデジタル教材が割り込み、情報技術の普及により複雑さを増している。

 変化は国内だけに留まらない。私たちの研究会で発表された「国際バカロレア」の問題も気になっている。「国際バカロレア(IB)=本部ジュネーブ」は「多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築くことに貢献すること」を目的として、現在、世界4300校が参加している(我が国は35校)。より具体的にどのような人間像が目指されているのかを覗いてみると、10項目があげられている。項目を列挙すると「探求する人・知識のある人・考える人・コミュニケーションができる人・信念をもつ人・心を開く人・思いやりのある人・挑戦する人・バランスのとれた人・振り返りができる人」となっている。これはあくまで「国際的に期待される人間像」であり、我が国の学習指導要領の目標や精神との重複が多い。ただ、戦後70年に当たるこの機会に―過去への「振り返り」、平和への「信念」、相手への「思いやり」などを意識しつつ―、国際的視野での教材開発にも手を差し伸べて頂きたいものである。

〜図書教材新報vol.124(平成27年8月発行)巻頭言より〜