vol.107

『授業と教材』改訂版の作成
日本教材学会会長
一般社団法人日本図書教材協会副会長
川野辺敏

 新学習指導要領の改訂に合わせて、久しぶりに『授業と教材』の改訂版を作成した。ご承知の通り、本資料は全教連加入の研究・研修機関を通じて、これまで主として初任者研修用の学習材として年間各数千部の需要があり、教師の教材認識・活用に役立てて頂いたものである。残念ながら教員養成大学では「教材」に関する専門的授業は行われておらず、教師は教材についての基本的知識を持たないまま、授業に取り組み、優れた教材の発見・開発・活用に苦悩しているのが現状である。そこで、今回は、現在の教育要求の基本に忠実な、よりコンパクトで、使いやすい学習材にすることを心がけた。

 内容はまず、「学校教育のねらいとは」を置き、学校教育の変質・法制の整備・学習指導要領の改訂とそれが求める学力観を示し、それに続いて「教材とは」「教材の種類とその役割」「授業作りと教材の活用」「教材と著作権」の章立てとし、教育目標をしっかりと認識したうえで「教材の役割及びその活用」の基本的理解を得られるように構成している。

 改訂版を作成しながら改めて教育現場の教師に対する複雑・多様な要求に驚きを禁じ得ない。「基礎的・基本的な知識・技能の習得」から始まり「思考力・判断力・表現力等の育成」「学習意欲の向上や学習習慣の確立」など、目指すものが山積しており、それに対応する様々な学習活動として、全般的な授業に加え、「個性・特性に応じた学習活動、習熟の程度に応じた学習活動、主体的な学習態度を育む学習活動」などが求められている。教材もそれぞれに対応できる多様なものが求められる時代に入ったといえるが、同時に、それに流されない、しっかりした「基本教材」、さらには、多様な学習要求に耐えられる「応用可能な教材」の作成が求められているといえよう。

〜図書教材新報vol.107(平成26年3月発行)巻頭言より〜