vol.103

ヨーロッパ大陸の学校観を探る
一般社団法人日本図書教材協会監事
比治山大学・比治山大学短期大学部学長
二宮 皓

 学校をその役割や機能で比較考察すると、世界の学校は3つのグループ(ヨーロッパ大陸型、旧社会主義諸国型、英米型)に大別できる。

 本来家庭で子どもを教育する(教育の私事性)とすれば、学校は家庭の機能を補完するものであって、学校が主役であるはずはなかった。フランスの学校観は間違いなくそうである。学校は家庭で教えることのできない知育を中心とする役割を受け持つことで国民の許しをえたのである(フランスの公教育の誕生)。伝統的にフランスの書物は脚注が少なくない。ドイツの研究書は(教科書も)これほど必要かと思うぐらい脚注が多い。ドイツ人が大食家であると評した人がいるが、まさに大量のビールと同様に知識は多いほうがいいとばかりの脚注となる。

 ドイツの学校はお昼過ぎに終わって、生徒も教員も全員一斉に下校してしまう。その理由は、教科の授業以外に何もすることがないからである。ドイツでは、文化祭もなければ運動会もない。修学旅行もない。クラブ活動もなければ、卒業式さえない。教科外活動が何もないと言える。フランスの学校にも運動場がなく、あるのは中庭だけである。

 ヨーロッパの学校は概して運動場がない。運動会などスポーツ活動が展開されることがないからである。学校が面倒見るようなことではない。学校はいくばくかの知識を教える場であり、生徒を親切に面倒見る場ではない。教師は家庭訪問をすることもなければ、生徒の人生相談にのることもない。大陸の学校は冷たい、不親切な学校かもしれない。でも合理的かもしれない。

 学校が楽しい課外活動の文化をもつようになったのは、イギリスやアメリカの学校のお蔭である。全寮制の運動場のある学校やアメリカンフットボールに熱狂する学校の誕生である。

〜図書教材新報vol.103(平成25年11月発行)巻頭言より〜