教材の裾野を広げる

       日本図書教材協会副会長
       川野辺 敏

 教育基本法や学校教育法等の改定に伴い、教材に関与する者の裾野が広がっている。教材というと教師と生徒間の学習の手段と考えられてきたが、保護者や地域の人材を巻き込んだ発想が欠かせなくなった。図書教材研究センターでは、昨年10月、岐阜女子大学との共催で「学校教育支援コーディネーター養成基礎講座」を開催し、これからの学校教育は保護者・地域人材を活用した「支援体制」が欠かせないという視点で、10講座・2日間の日程での講義を行ったが、そのなかで「コーディネーターには教材作成支援の役割がある」と新井郁男講師(当センター副理事長)が述べられたのは印象的であった。本講座はパイロットスタディ的な位置づけであり、講座のテーマとして正面から教材を取り上げなかったが、この講座を検証・発展させる立場から、「教材の理解と活用」といった講義時間を設けるべきだったと反省させられた。もうひとつ、教員免許更新制に関連して、当センターから「教材の利用と活用」を企画・申請し、「教材総論・各教科別の教材の現状と活用」といった構成で、これまでの教材研究の成果をもとに、保護者・地域人材を含めた教材活用の重要性を研修して欲しいと思っていたが、新政権の発足により当面中断せざるを得なかったのは残念である。

 これらの過程で考えたことは、教材を教師と生徒との関係だけに限定せず、特に、保護者や地域住民の間に浸透させることの重要性である。保護者・地域住民も今後子どもの教育にいろいろな形で参加することが要請されているのに、教材についての知識をもたないで指導・援助を行うわけにはいかないからである。これら、いわば教材の非専門家からの教材要求が大切であり、また、それは利用者拡大にも繋がるはずである。


〜図書教材新報vol.57(平成22年1月発行)巻頭言より〜



◇バックナンバー◇

各団体代表者年頭所感 〜「図書教材新報vol.56」より〜

販売店としてのコンプライアンスについて/清水 厚実 〜「図書教材新報vol.55」より〜

知識を考える/辰野 千壽 〜「図書教材新報vol.54」より〜

父母は習慣の教師なり/菱村 幸彦 〜「図書教材新報vol.53」より〜

ものさし こころざし/杉山 吉茂 〜「図書教材新報vol.52」より〜

若手教員の指導力の向上/佐野 金吾 〜「図書教材新報vol.51」より〜

文字・活字教材と映像教材の間/新井 郁男 〜「図書教材新報vol.50」より〜

ソフトな発想での教材作り/川野邊 敏 〜「図書教材新報vol.49」より〜

図書教材の著作権の尊重を/清水 厚実 〜「図書教材新報vol.48」より〜

メタ認知を活かす/辰野 千壽 〜「図書教材新報vol.47」より〜

学びて思わざれば/菱村 幸彦 〜「図書教材新報vol.46」より〜

これからの教材への期待/杉山 吉茂 〜「図書教材新報vol.45」より〜

各団体代表者年頭所感 〜「図書教材新報vol.44」より〜

「学習習慣の確立」をはぐくむために/佐野 金吾 〜「図書教材新報vol.43」より〜

言語力はスポーツにも重要/新井 郁男 〜「図書教材新報vol.42」より〜

教材作成「転換の年」/川野邊 敏 〜「図書教材新報vol.41」より〜

成果挙げる幹事会の活動/清水 厚実 〜「図書教材新報vol.40」より〜

読解の方略を生かす/辰野 千壽 〜「図書教材新報vol.39」より〜

いよいよ英語教育が始まる/菱村 幸彦 〜「図書教材新報vol.38」より〜

新しい学習指導要領に思う/杉山 吉茂 〜「図書教材新報vol.37」より〜

新学習指導要領の告示と教材/佐野 金吾 〜「図書教材新報vol.36」より〜

「臭い」をどう教材化するか/新井 郁男 〜「図書教材新報vol.35」より〜

「教材作成」二つの視点/川野辺 敏 〜「図書教材新報vol.34」より〜

先生との絆を大切に/清水 厚実 〜「図書教材新報vol.33」より〜

各団体代表者年頭所感 〜「図書教材新報vol.32」より〜

授業の媒体を生かす/辰野 千壽 〜「図書教材新報vol.31」より〜

「理念」は間違っていない/菱村 幸彦 〜「図書教材新報vol.30」より〜

PISAの試験が求めているもの/杉山 吉茂 〜「図書教材新報vol.29」より〜

「児童・生徒一人ひとりの学習状況に応じた教材の開発」/佐野 金吾
           〜図書教材新報vol.28より〜

教師対象教材の開発/新井 郁男 〜図書教材新報vol.27より〜

「教材の多様化」への対応/川野辺 敏 〜図書教材新報vol.26より〜

福利厚生に共済制度の活用を/清水 厚実 〜図書教材新報vol.25より〜

改めて学習効果の転移を考える/辰野 千壽 〜図書教材新報vol.24より〜

遅れるのはやむを得ないが/菱村 幸彦 〜図書教材新報vol.23より〜

教科書使用の自己評価と他者評価/新井 郁男 〜図書教材新報vol.22より〜

基礎の基礎としての読書教材/川野邊 敏 〜図書教材新報vol.21より〜

各団体代表者年頭所感 〜図書教材新報vol.20より〜

出版社、販売店相互の信頼大切に/清水 厚実 〜図書教材新報vol.19より〜

家庭学習のすすめ/辰野 千壽 〜図書教材新報vol.18より〜

“流行り言葉” の教育論/菱村 幸彦 〜図書教材新報vol.17より〜

本・図書・書物・書籍考/新井 郁男 〜図書教材新報vol.16より〜

改めて基礎・基本教材を考える/川野邊 敏 〜図書教材新報vol.15より〜

教材の活用で学力の向上を/清水厚実 〜図書教材新報vol.14より〜

習熟度別指導を生かすには/辰野千壽 〜図書教材新報vol.13より〜

ユニークな日本教育論/菱村幸彦 〜図書教材新報vol.12より〜